国語科 木下忠志

「表現と理解の相互循環」の活性化を促す手立て

本校2年目になりました。今年度は,3年生を担任しています

昨年度は,「なってみる」学びを中心として,文学的文章を教材として表現と理解が循環していく言語活動について研究を行ってきました。そこから見えてきたものは,教材の特性と言語活動の枠組み,そして指導事項の一致が重要だということでした。

例えば,「劇」という言語活動では,登場人物に「なってみる」という特性から,「どのような表情・口調・様子だったのか」など行動の様子を具体的に想像するのに,とても有用な言語活動でした。「くじらぐも」を学習材とした単元では,「天まで,とどけ,一,二,三。」の口調や表情を,即興的に演じた中から見出し,「どうしてそのようにしたのか」を話し合うことで,叙述を基にして想像している姿が見られました。しかし,「ずうっと,ずっと,大すきだよ」を学習材とした単元では「なぜそうしたのか」といった人物の行動の理由を想像するために劇を用いましたが,効果的ではありませんでした。これは,教材から生じる「なぜ」という問いと劇という活動から生じる「どうやって」という子どもの問いが一致しなかったために,本当の意味で言語活動を通した学びとなり得ていなかったためだと考えられます。

そこで,本年度は,①学習材の特徴,②指導事項,③子どもの実態の三点の関わりを意識し,「誰の視点から言語活動に取り組むのか」「どんな活動をどのように表現するのか」に留意して言語活動をデザインしていきます。そして,「表現」と「理解」が相互に循環していくことはもちろん,その活性化を促すためにはどのような手立ての工夫が必要なのかを研究していきたいと思います。