算数科 宮本浩彰

「きれいだな」と感じる心を動かす学習活動を取り入れた授業づくり

 

本校3年目になりました。今年度は,5年生を担任しています。

 

「あれ、きれい」

何気ない会話の中で、子どもの内から出てきた自然の言葉に耳を傾けてみると、駐車場にかかるサンシェードを伝って流れる雨に心を惹かれていました。

「何がきれいなの?」

と聞くと、

「同じ向きに雨が流れているんだよ」

と返ってきました。見れば、上から下へ平行に流れる雨の姿があり、同時にその動きの規則性に目を向け、美しさを見いだす子どもの姿がありました。そのとき、「人は、規則性を見つけるとそれを『きれい』ととらえる傾向にあるのではないか」と思いました。「きれい」の定義は、人それぞれですが、感性に訴えかける美しさがあるとき、人は心を奪われる点では、共通しているのではないでしょうか。同時に、そんな子どもの姿に心の美しさを感じた場面でした。

算数の世界にも、「きれいだな」「美しいな」と感じる場面があります。例えば、数学的表現を用いて、簡潔、明瞭、的確に表す際にも、「美しさ」が見られますし、数の世界に入り込み、探究している際にも、「美しさ」がみつかることもあります。そんな「美しさ」を体感できる機会をつくることができれば、子どもたちの感性を刺激し、自然と「算数って面白いな」「なんか面白そうだな」と感じ始めるのではないかと考えています。

授業づくりでは、単元内すべてではなく、一部だけでも「美しさ」に子どもたちが触れることができるような学習活動を取り入れていけたらと思っています。

また、授業では他者との関わりが欠かせません。自分では気付かなかった、新たな見方・考え方に出合う可能性が高まるからです。私は授業の中で,「迷っている」または「困っている」という子どもの立場を中心に組み立てていくように努めています。迷いや困り感をもつ子どもの思いは,それ以後の子どもたちの理解を深めたり,他のわからない立場の子どもたちの理解を助けたりすることにもつながるからです。

もともと子どもたちは,迷いや困り感をもつ子どもたちの思いに共感し,ともに学びたいという気持ちももっているように感じます。その思いを生かしていく意味でも、友達の困り感を想像したり自分事として考えようとしたりする場面を設定していきます。時には、その意思を表しただけでも,教師は子どもたちの思いや行動を価値付け学級の中に支持的風土を醸成することができます。そして,子ども同士のつながりを強めていきたいと思います。