社会科

一人一台タブレットの時代だからこそ,他者と協力しながらよりよい社会を目指す社会科学習

 

GIGAスクール構想により,一人一台タブレットが当たり前になった昨今。社会科における調べ学習の様相も変化してきました。様々な思考ツールを活用したり,インターネットを活用して様々な情報を集めたり,一人でできることがたくさんあります。情報の共有も容易ですし,新聞づくりやプレゼンづくりもタブレットを使えば,編集や修正も以前ほど面倒ではありません。ですから,個別に最適化された資料や方法を,自ら選びながら活動していくことで一定の満足感を得ることができるのです。

しかし,それだけでは不十分であることは,多くの先生方が感じられていると思います。子どもたちは,自らの学びをメタ的に,あるいは批判的に見る力が十分にあるとは言えませんから,他者とかかわり,自分にはなかった視点や考え方に出合う必要があります。

では,そうした個別と協働の学びがシームレスに行われながら,公民的資質を育むためには何が必要なのでしょうか。

 

本校社会科では,昨年度の研究から,社会科における新たな「学びをたのしむ姿」が見えてきました。それは,「自分たちの行動で,世の中が少しでもよくなっていくかもしれない」という,学びと社会のかかわりに気付き,自己有用感を高めている姿です。そこで,今年度は,単元の導入から学年に応じた「よりよい社会のために自分ができること」をテーマとして探究していく単元構成の在り方を研究していきます。

その中で,子どもたちは共に学ぶ他者や学ぶ対象を選択することができるように学習環境をデザインしていきます。さらに,単元の中で,よりよい社会にするための視点を子どもたち自身が見いだし,その視点を評価基準としながら自らの学びに立ち止まることができるようにしていきたいと考えています。

また,子どもたちが見いだした評価基準を用いた相互評価の時間を設定します。評価とは,評価を受けた子どもが伸びていくためのものです。そこで,評価者と被評価者,評価者同士が対話する場を設け,互いが働かせている見方・考え方を表出させ,深い学びへと誘います。このように,評価基準を基にした対話を繰り返していくことで,評価基準そのものを更新しながら学んでいく姿を目指していきます。

さらに,単元のまとめとして,評価問題づくりに取り組む時間を位置づけます。子どもたちが作成した問題の中から,単元の本質に迫る問題を教師が選ぶことで価値づけます。そして,子どもたちと模範解答を考える活動を通して,それぞれが個別に導き出した「よりよい社会とのかかわり方」を一般化することで,資質・能力の育成を図っていこうと考えています。

 

社会科の教員

村上春樹
白石和真

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