算数科 津川郷兵

創造的な過程をたのしみ、自ら数学の世界を開拓する子どもたちへ

 

本校1年目、算数科の津川です。今年度,2年2組の担任をしています。

 

数学のたのしさを感じることができる瞬間のひとつに、自分の中にある既存の知識から必要なものを選択し、時にはそれらを組み合わせながら新しいもの(数学的な表現)を創り出せることがあります。

そのような瞬間を自らが体験することができる経験を重ねながら学び進めることが、これから数学の世界を探究し続ける子どもたちには必要不可欠です。

では、新しいものを作り出さなければならない場面とは、どのような場面でしょうか。それが、今まで慣れ親しんでいた数学の世界から一歩、外界に踏み出そうとする場面です。外界に一歩踏み出す時、困難はつきものです。その困難にぶつかった時、当然、今あるものをそのまま使っていても乗り越えることはできません。今までの数学の世界でつかってきたものを適応させながら開拓していきます。多くの数学者も、今まで自分たちで創り上げてきた数学の世界で研究してきたのちに、困難に出合い、既知のものを変化、適応させながら解決してきました。そして、それらを乗り越えるたびに新しい数学の世界を広げてきました。その先人たちがたどった道を、子どもたちも追体験として学び進めてほしいと考えています。

 

子どもたちが、自ら数学の世界を開拓し続けるために、今年度、特に研究したい場面があります。それは算数の学習をする中での統合・発展場面、すなわち子どもたちが数学的な事象を解決した際の結果を考察する場面についてです。創造的な過程について、子どもたちの思いとは別に「今日はこの問題です。」と教師から問題を投げかけられて始まる学習プロセスが、多くなってしまっているように感じています。そのような学びかたでは、せっかくの“困難”が自分事とならずに数学の世界が他人事として広がってしまいます。そのためには、子どもたちが数学の世界の開拓者の一人であるという自覚が必要です。そこで大切にしたいことが、統合・発展場面における子どもの学びかたの蓄積です。「どうしてできたのか」を考えると同時に、「どうしてそうなるのか」、「この場合はどうなるのか」、「他の問題でもできるのか」というような数学の事象をみる視点も蓄積していきます。この統合・発展場面を1時間の授業レベル、単元レベル、1年間を通した算数の学びのレベル、それぞれをミクロとマクロの視点をもって見直し、子どもたちが数学の世界を絶えず開拓し続ける姿を追い求めたいと考えています。

 

1年間を通して、子どもたちの数学の世界での学びかたの蓄積により、創造的な過程をたのしみ、子どもたちが自分事として、数学の世界を開拓していけるよう研究を進めてまいります。